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 2021年度ビジョンフード産地推進会議【鶏肉・(株)秋川牧園】に参加しました(2021.10.19-20)


● 「ビジョンフード」とは


生活クラブでは、牛乳、お米、青果物、鶏卵、畜産品など、素材や加工食品の原料にもなる食べ物を大切にしています。
この食べ物を将来にわたって生産、流通、消費していくために、生産者と消費者がともにビジョンをもって造ろうと「ビジョンフード」と名づけています。
そして生産者と消費者が互いのビジョンを形にするために話し合う場が「ビジョンフード産地推進会議」です。
今年のテーマは鶏肉で、熊本県にある(株)秋川牧園南関農場と(株)チキン食品を訪問しました。

 

●スケジュール

 ■2021/10/19■

羽田空港に集合→熊本空港
移動のバス車内で丹精國鶏の学習会内容の復習
秋川牧園グループ「株式会社チキン食品」を見学
「(株)秋川牧園南関農場」の第三農場を見学
 

■2021/10/20■

鶏肉関連生産者「(株)秋川牧園、(株)チキン食品、全農チキンフーズ(株)、群馬農協チキンフーズ(株)、オンダン農業協同組合、(株)イシイ」と組合員「生活クラブ連合会・関西&6単協組合員」の協議会
熊本空港→羽田空港で解散

 

●丹精國鶏の特徴

生活クラブの丹精國鶏(国産鶏種「はりま」)には、健康な美味しさがぎゅっと詰まっています。

名前に込められた意味は……

『丹精(たんせい)』
健康に育った鶏はとても美味しいです。
自然の光と風の中、ゆったりとした環境で育てられています。
飼育期間も55日以上と、ゆっくりです。
温度管理も、エサやり水やりも丁寧に。無投薬飼育が原則です。

『國鶏(くにどり)』
生産者と組合員が育てて守る国産鶏種。3世代前から「国産」です。
日本の気候風土に合った「国産鶏種」エサも育ち方も確認できます。
お米を与えて食料自給力アップ!


 

【10/19】若鶏の一次処理(株)チキン食品を見学


秋川牧園の若鶏が、山口・福岡・熊本・島根の農場から出荷されて「お肉」に加工されるまでの工程は、秋川牧園の子会社(株)チキン食品(熊本県玉名郡南関町)で行われています。
作業工程は前処理・中抜き・解体の三段階に分かれます。
 

<前処理工程>


秋川牧園の鶏舎で約60日間のびのびと育ったはりまは、コンテナに入れられ大型トラックでチキン食品に運ばれます。
「はりま」は平均3,000羽/日=トラック2台分。若鶏全体では9,500羽/日。
その後、熊本県食肉衛生検査所による生体検査を受け、手作業でコンテナからラインに乗せます。

工場建屋には壁面に沿ってフックの付いたラインがあり、「はりま」は懸鳥された状態で建屋に入っていきます。
この工程では『いのちをいただきます』と、鶏と生産者に感謝を込めて祈る以外にありませんでした。
(と殺から鶏頭除去は見学していません)

 

<中抜き工程>


処理されたと体は熊本県食肉衛生検査所により検査を受け、自動中抜き機にかけた後でさらに熊本県食肉衛生検査所により内臓検査を受けます。
内臓から外した砂肝と肝は解体工程へ進みます。
中抜き懸鳥の食道・気管・そ嚢を除去し、バキューム機により肺を除去し、内外洗浄後、次亜塩素水による仕上げ洗浄をして急速冷却(冷水1℃~4℃。約30分)します。
工場内の作業工程はとても機械化が進み、何人分もの働きをする反面、一定量をこなさいと機械が有効ではないとの説明がありました。

 

<解体工程>


鶏はロボットでカット・脱骨され、効率よく分解されます。ベルトコンベアに乗って流れてくる各部位の余分な骨や皮は手作業で手際よく除去します。
作業は8:30から開始し、1時間で休憩タイムになります。掃除をして持ち場はローテーションして、集中力を保ちます。
解体したお肉は計量・真空包装後、金属探知機にかけ、冷やし込んで山口の本社のミート工場へ出荷します。


後日、鳥インフルエンザで大量の鶏が処分される話を聞いたときは、単に『可哀そう・勿体ない』ではなく、生産者が手塩にかけて育んだその努力と貴重な国産鶏種の命が、私たちの体と共に生きることなく土に埋められてしまう『哀しみ』を覚えました。


 

【10/19】秋川牧園南関農場の第三農場を見学


10月19日、熊本県玉名市にある秋川牧園南関農場第三農場に行ってきました。
はりまは貴重な国産鶏種で、肉用鶏種の1~2%です。その飼育鶏舎を見学しました。
「国産鶏種はりまを育てることは大変です」と聞いてはいたものの、実際に農場に行き、その広さと鶏の数を見るまではその大変さが想像できませんでした。

 

■「丹精國鶏」国産鶏種“はりま”の育て方

自然の光と風の中で、自由に動けるのびのびとした環境での飼育。
繊細な若鶏を無投薬で飼育するためには、鶏の様子をよく見ながら、一日に何度も温度管理・エサやり・水やりをチェックします。


若鶏は飼育日数が短いので、1回のミスが飼育成績に大きな影響を与えます。
エサは、無投薬・肉骨粉不使用・残留農薬安心にこだわり、トウモロコシ・大豆粕などはNon-GMO(非遺伝子組み換え作物)で、PHF(ポストハーベストフリー)。
飼料米(エサの国内自給率7%を少しでもアップしようとした取り組み)も与えます。


一般より10日以上長く60日間飼育。生産者の情熱があってこその国産鶏種はりまという品種です。
一方で外国鶏種は、海外の企業が生産性や飼育効率を重視して品種改良を進める傾向があります。
安全性は未確認なのに肉用鶏種の大部分を占めています。
そこに依存すると海外の育種会社からその品種改良されたヒナを毎年輸入しなければなりません。
今回のコロナ禍のように工場がストップして輸入できなくなった場合、日本国内の安定供給の面でも心配されます。

 

■ 「発酵鶏糞」で地域循環


飼料米の取り組みは、平田牧場を参考に2009年からスタート。
出荷後の鶏舎で良質な鶏糞を発酵させ、屋外の堆肥場へ移動して発酵鶏糞を作ります。
田んぼに大型トラック40台分の堆肥を運んで飼料米を作り、収穫した米を鶏の飼料に使用しています。
秋川牧園の安全飼料の鶏糞堆肥は、地域循環を実践しており、飼料米多収穫日本一コンテストで上位入賞が続いています。

 

■ 「丹精國鶏」はりまをもっと増やすには?

国産鶏種はりまは全て生活クラブ向けです。食べる人を増やして、今後も継続して利用を続けましょう。



 

【10/20】鶏肉関連生産者&組合員の協議会(報告感想意見交換)




<丹精國鶏が届くまで>

生活クラブが種の自給として「はりま」の取り組みを始めたのは今から20年前。
群馬農協チキンフーズが最初で、2004年に秋川牧園も参入。
2016年にブランド名称を丹精國鶏にしました。
国内で育種改良を行い、日本の気候風土にあった改良のできる「国産鶏種」の取り組みです。
育種改良を行う独立法人家畜改良センター兵庫牧場、「はりま」のヒナの孵卵を担う(株)イシイ、鶏肉生産者4社が力を合わせて育てています。
育種や生産は複数産地で行い、不測の事態に備えてリスクの分散をしています。


<秋川牧園から組合員へ>

「秋川牧園の原点は「口に入るものは間違ってはいけない」
「無投薬・肉骨粉不使用・残留農薬安心・飼料米使用・PHFコーン・Non-GMOです。はりま事業は「つくる」と「たべる」のどちらが欠けても成り立ちません。この20年間しっかり食べ続けていただき、本当にありがとうございます。はりま事業は胸を張れる取り組みだと思います。今後も意欲的に「はりま」を育てていきますので、それに負けないようにしっかりと食べ続けていただきたく思います」と社長からメッセージ。
さらに、「食べる側の組合員の声と共に丸ごと一つのチームになって、外国鶏種に追いつき国産鶏種を守りたい!」というパワーあふれる肉声を89歳の会長から受け取りました。
 

<2日間参加した感想>

店頭で陳列された製品からは命の重みを感じ取ることが難しい現代、特に「いのちいただきます」の経緯は一次処理を知ることが大切だと思いました。
単協消費委員会に参加し希望することで、現場を知り、業種生産の全体像まで直接知ることができました。
これは委員会活動の役得ですね。希望する多くの皆さんにこの機会がありますように。

 

丹精國鶏の調理例



手羽先・ムネ・モモ、お好きな部位に塩コショウをまぶして焼いたもの。
玉ねぎやじゃがいもを一緒に焼くことで、鳥の油が移って美味しくいただけます。
また、塩麹や醤油麹に漬けて焼くと、肉が柔らかくなっていっそう美味しくなります。



「骨付きもも照り焼き」はクリスマス・ディナーのメインを張れる消費材。
調理済みのため解凍不要で電子レンジで温めるだけ(塩・こしょう・バター味)です。

(現地写真・文:単協消費委員 Y.K / 料理写真:単協消費委員 S.K)

 


 

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